- そのめまいは、「人生の方向性」に迷っているサインかも?
- ホメオパシーでは、めまいの症状より「燃え尽き」「焦り」といった心の状態を重視する
- 更年期のレメディは自己判断が特に危険。専門家による「個別化」が必須である理由
- すぐに病院へ行くべき危険なめまいと、更年期のめまいの見分け方
- 更年期の不調を、新しい自分に生まれ変わるための「きっかけ」に変えよう
クラシカルホメオパシーの専門家、世良純子です、この記事では、更年期に起こるつらい「めまい」について、ホメオパシーがどのようにアプローチするのか?を詳しく解説します。
あなたのめまいがどのタイプに当てはまるのか?レメディを選ぶ際に絶対に知っておくべき注意点についても、プロの視点からしっかりお伝えします。
「薬だけに頼らず、できれば自活力で元気になりたい」と願う方は、ぜひ最後まで読んでください。
先に結論をお伝えすると、更年期のめまいを根本から改善したいなら、あなたの心と身体を深く理解しているプロに相談するのが、一番の近道ですよ。
あなたのめまいはどのタイプ?3つの種類と危険なサイン

「めまい」の感じ方は人それぞれです、ご自身の症状がどのタイプに近いかを知ることが、的確な対処への第一歩になります。
更年期によく見られるめまいは、主に以下の3つのタイプに分けられます。
- ぐるぐる回る「回転性めまい」
- ふわふわ揺れる「動揺性めまい」
- 気が遠くなる「失神前めまい」
ぐるぐる回る「回転性めまい」

自分自身や、周りの景色がぐるぐると回っているように感じるのが「回転性めまい」です。
これは、耳の奥にある三半規管のトラブルが原因で起こることが多いとされています。
『ある朝、目を開けたら、天井が高速で回っていたんです』と、パニックになって相談に来られる方は少なくありません。
立っていられないほどの感覚で、強い吐き気や嘔吐を伴うこともあり、非常に強い不安を感じるのがこのタイプの特徴です。
ふわふわ揺れる「動揺性めまい」
身体がふわふわ、ふらふらと揺れるように感じるのが「動揺性めまい」で、一見めまいだとわかりにくいです。
このタイプは、更年期における自律神経の乱れが原因で起こりやすいとされています。
回転性めまいほど激しくはありませんが、まるで雲の上や船の上にいるかのような不安定な感覚が常に続くため、日常生活に支障をきたすこともあります。
常に地に足がついていないような感覚は、QOLを大きく下げる原因になります。
気が遠くなる「失神前めまい」

立ち上がった瞬間にクラっときたり、目の前がスーッと暗くなるような、いわゆる「立ちくらみ」がこのタイプです。
原因は、自律神経の乱れによる血圧のコントロール異常などが考えられます。
特に、忙しく立ち仕事をしている時や、会議でずっと座っていて急に立ち上がった瞬間などに起こりやすいのが特徴です。
「貧血かしら?」と自己判断される方も多いのですが、更年期の場合は自律神経の乱れが根本にあることがほとんどです。
血の気が引くような感覚を伴い、実際に意識を失ってしまうこともあるため注意が必要です。
【警告】すぐに病院へ行くべき危険なめまい

めまいの中には、脳梗塞や脳出血といった、命に関わる病気が隠れている場合があります。
ホメオパシーの専門家として、まず最初にお伝えしなければならない最も重要なことは、これらの病気はホメオパシーの範疇ではないということです。
もし、めまいと共に以下のような症状が一つでも現れた場合は、「更年期だから」と自己判断せず、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに脳神経外科を受診してください。
- 突然の激しい頭痛
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 片方の手足に力が入らない、しびれる
- 物が二重に見える
- まっすぐ歩けない、立っていられない
あなたの安全を最優先することが、何よりも大切です。
更年期のめまいに使われる代表的なレメディと“心の状態”

ホメオパシーでは、めまいという症状の背景にあるあなたの「心と身体の全体」に目を向けます。
ここでは、更年期のめまいでよく使われる代表的なレメディが、それぞれどのような「心の状態」に共鳴するのか、その一端をご紹介します。
- ラケシス
- セピア
- プルサティラ
- サルファー
- フォリキュナム
ただし、これはあくまで一例を示すためのものであり、自己判断でレメディを選ぶためのものではありません。
レメディを自己判断で選ぶことは非常に危険なので、必ずプロのホメオパスに相談するようにしてください。

ラケシスが合う人
ラケシスは、急にカーッと熱くなるホットフラッシュや、激しい動悸を伴うめまいに悩む方に合います。
その背景には、内側に溜まったエネルギーを発散したいという強い欲求があります。
精神的には、おしゃべりで頭の回転が速く、次から次へと話題が飛びますが、嫉妬深さや疑い深さといった側面も。
身体的には、眠りに入る時や朝起きた時に症状が悪化し、タートルネックやベルトなど、身体を締め付けるものを極端に嫌うのが大きな特徴です。
溜め込んだエネルギーを解放できずにいる状態が、めまいやのぼせとして現れているのです。

セピアが合う人
セピアは、「もう何もしたくない…」という強い疲労感や無気力感や、ふわふわするめまいが起こる方に合います。
その根本には、永年自分を忙しくし、イライラを抱えながら自分を酷使してきたことによる、深刻なエネルギーの枯渇があります。
かつては家族や仕事のために身を粉にして働いてきた人が、燃え尽きてしまい、一番大切なはずの家族にさえイライラしたり、無関心になったりします。
運動をすると一時的に気分が晴れるのも、停滞したエネルギーが少し動くから。セピアは、そんな燃え尽きた状態からの回復をサポートします。
プルサティラが合う人
プルサティラは、気分の浮き沈みが激しく、些細なことで涙が出てしまうような、感情の不安定さが目立つ方のめまいに合います。
まるで風見鶏のように、症状も気分もコロコロと変わりやすいのが特徴です。
精神的には、誰かにそばにいてほしく、同情や慰めを求めます。
身体的には、新鮮な外の空気を吸うと心身ともに楽になり、脂っこいものが苦手というサインもあります。
プルサティラは、この感情の嵐を穏やかにし、心の安定を取り戻す手助けをします。
サルファーが合う人
サルファーは、強いのぼせや、特に頭のてっぺんや足の裏が焼けるように熱く感じる方のめまいに合います。
その背景には、有り余るほどの生命エネルギーや知的好奇心があります。
エネルギッシュで自分の考えに自信を持っていますが、その熱量が身体の内側でうまく循環せず、空回りして熱として現れている状態です。
夜、ベッドに入ると熱くて布団から足を出したくなる、というのも有名なサイン。
サルファーは、この過剰なエネルギーのバランスを整えるのを助けます。
さて、ここまでいくつかのレメディを紹介してきましたが、「自分にどのレメディが適しているのか知りたい」場合はぜひ一度こちらからお問い合わせください。
【視点転換】そのめまいは「人生の方向転換」を促すサインかも?

めまいなどの更年期障害の症状に悩まされる方に共通するのが「身体の転換期」且つ「人生の転換期」ということです。
更年期はとてもホメオパシーと相性が良く、私自身症状の中でも、更年期のケアを得意としています。
それは、数多くのクライアント様と向き合う中で、この時期の不調が単なる身体の変化だけでなく、その人の生き方そのものと深く結びついていることを、誰よりも深く実感しているからです。
そこで、この章では、なぜめまいや関節痛といった更年期障害に悩まされるのか?その真因や根本的な改善方法をお伝えしたいと思います。
ホルモンだけではない、めまいの本当の原因
めまいの直接的な原因は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れです。
しかし、ホメオパシーでは、さらにその奥にある「なぜ、あなたの自律神経はこれほどまでにバランスを崩したのか?」という問いを探求します。
- 長年積み重ねてきた仕事のプレッシャー
- 家庭での役割
- 人間関係のストレス etc…
ホルモンの変化という土台の上に、上記のような環境要因が複雑に絡み合った結果なのです。
つまり、めまいは、あなたのこれまでの人生の頑張りと、その結果としての心身の疲労が、身体に現れたサインと言えます。
その症状は「このままでいいの?」という身体からのメッセージ
繰り返しますが、更年期は多くの女性にとって人生の大きな転換期です。
「妻として」
「母として」
「社会人として」
これまで必死に果たしてきた役割から、少しずつ解放されるこの時期に、めまいはあなたの身体を通して、こう問いかけているのかもしれません。
「これからの人生、本当にこのままの生き方でいいの?」
「あなたが本当にやりたいことは何?」
そのめまいは、今までの家族を優先とした人生を終えて、新しい進むべき道に迷っているあなたの心の状態を、身体が教えてくれているサインかもしれません。
だからこそ、この不調をうまく乗り越えることは、新しい自分らしい生き方を見つけるための、またとない重要なきっかけになります。
更年期のレメディを適切に選んで新しい人生を歩もう

ここまで読んで、ホメオパシーが更年期のめまいに対し、医療とはまた違った側面から深いレベルでアプローチするか?お分かりいただけたかと思います。
だからこそ、私は専門家として、更年期の症状に対するレメディの自己判断は、絶対にやめてほしいとお伝えしています。
あなたのめまいの背景には、あなただけのユニークな人生の歴史と、複雑な心身の状態が隠されています。
それを正しく読み解き、何千種類ものレメディの中から、今のあなたに最も合う「たった一つ」を選び出す作業は、高度な専門知識と豊富な経験がなければ不可能です。
間違ったレメディは、効果がないばかりか、あなたの繊細な心身のバランスをかえって乱してしまう危険性すらあります。
もしあなたが更年期障害のケアにホメオパシーを検討しているなら悪いことは言いません。
あなたの貴重な人生の転換期を、安全に、そしてより豊かに乗り越えるために、信頼できる専門家のサポートを必ず受けてください。
更年期のめまいとホメオパシーに関するよくある質問
Q. 更年期のめまいは、いつまで続くのですか?
A. 個人差が非常に大きいですが、一般的には閉経前後の45歳から55歳頃に最も多く見られます。
ホルモンバランスが新たな状態で安定すれば、症状は自然と落ち着いていきます。
ホメオパシーは、その移行期間を穏やかに過ごすためのサポートをします。
Q. めまいがあるので私は更年期ですか?
A. いえ、必ずしも更年期というわけではなく単なるめまいがおきている例かもしれません。
実際に単なるめまいもよくケアしています、何でも時期的に仕方がないと諦めず、しっかりチェックしてみたほうがよいです。
Q. めまいの他に、どんな症状にホメオパシーは使えますか?
A. ホットフラッシュ、動悸、不眠、気分の落ち込み、イライラ、関節痛、鬱、ホルモンバランスの乱れ、疲労感など、更年期に伴うほとんど全ての心身の症状に対応可能です。
ホメオパシーは、個々の症状をバラバラに捉えず、全体として一つの不調和と見てアプローチするからです。
何かの症状を直すのではなく、あなたの状態を良くするのがホメオパシーの目的です。
なお、どんな更年期障害の症状にホメオパシーが使えるか?はこちらで詳しく解説しています。
Q. どのレメディを選べばいいか分かりません。
A. それが正常な感覚であり、ご自身で選ぶべきではありません。
更年期の症状は非常に複雑で、その人の体質や精神状態によって最適なレメディは全く異なります。
自己判断はかえって悪化をまねく危険があるため、必ず専門のホメオパスにご相談ください。
Q. ホルモン補充療法(HRT)と併用できますか?
A. 併用は可能ですが、積極的には併用をお勧めしていません。
病院での治療を続けながら、ホメオパシーで心身のバランスを整え、QOL(生活の質)を向上させることは目指せますが、ホメオパシーの効果は出にくくなります。
更年期の症状には、必ず全員がホルモン補充療法をするわけではなく、薬を使いたくないという選択をされる方も多いと感じます。
また、ホルモン補充療法を若返りなどプラスアルファの理由で使用することは、身体に負担をかけるためホメオパシー的見地からはあまりおすすめしていません。
自分の状態と目指すところ、どんなケアをしたいか担当者にご相談しながらすすめてください。
【参考文献・引用元】
- Bordet, M. F., et al. (2008). Treating hot flushes in menopausal women with homeopathic treatment–results of an observational study. Homeopathy, 97(1), 10-15.
- Colau, J. C., et al. (2012). Efficacy of a non-hormonal treatment, BRN-01, on menopausal symptoms: a multicentric, randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Drugs in R&D, 12(3), 107-119.

